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望遠鏡の稼働率をあげないともったいないでしょ!
快晴でも月があると暗い天体はまともに影響を受けます。とくにDSO(銀河、星雲、星団)はほとんどが暗くて淡い天体なので眼視観測では見つけることさえ苦労します。
月が無くても市街地では街灯や室内照明の影響で空が明るくなっており、望遠鏡を使っても見ることができる対象は限られます。
そんな理由で電子観望ができる日は月が無くて晴れた夜になるのですが当然、望遠鏡の稼働率はさがります。
1ヵ月に数日あればいいほうですね。
光害の影響の中で観測ができるDSO(銀河、星雲、星団)はオリオン大星雲くらいかな。あとはM13、M22の球状星団とアンドロメダ銀河くらいだと思います。
電子観望で月夜の天体観測に挑戦する!
電子観望は露出時間を調整したりゲインと言われる光に対する感度を調整することができます。
うまく調整すれば眼視観測よりも月の光や人工の光の影響を低減させることができます。
さらに光をカットするフィルターもあるので眼視観測よりも意外と観測できることもあります。
もちろん暗い夜にする観測と同じ成果になるわけではありませんが、望遠鏡の稼働率をあげることは可能です。
月齢は11.3のうえに薄い雲までありました
観測日は2025年6月7日、場所は地方都市の住宅街からです。こんな月のあるときに電子観望をすることはなかったのですがあえて挑戦しました。
もう少し快晴だったらよかったのですが最初から最後まで薄雲は切れませんでした。
天頂あたりでは3等星が見えていましたが1等星でも輝くような光ではありません。ふだんだったら絶対にDSO(銀河、星雲、星団)の電子観測はしない条件です。
望遠鏡とCMOSカメラについて
当日の観測機材を紹介します。望遠鏡とCMOSカメラにパソコンは電子観望に必須です。
DOB GOTO 12 Wi-Fi 【297,000円税込み】
ニュートン式反射望遠鏡 | 口径305ミリ | 焦点距離1500ミリ | F5 |
自動導入自動追尾式経緯台 | 倍率150×・60× | 極限等級14.5等級 | 5㎝光学ファインダー |
望遠鏡はスカイウォッチャー製のドブソニアンです。ほとんど電子観望でDSO(銀河、星雲、星団)を見るために使用しています。
口径が大きいので暗くて小さいDSO(銀河、星雲、星団)を電子観望しても見ごたえのある画像を出してくれます。
uranus-C(ウラヌス)【72,600円税込み】
機能 | コメント |
uranus-c(ウラヌス) | 72600円税込み |
CMOSセンサーIMX585 | SONY製 |
解像度:3856×2180(840万画素) | 大きめの画角でDSO(銀河、星雲、星団)の群像も楽しめます |
センサーサイズ:11.2×6.3ミリ(1/1.2型) | DSO(銀河、星雲、星団)でも惑星でもこなせる万能機 |
ピクセルサイズ:2.9ミクロン | 高感度でDSO(銀河、星雲、星団)もよく映し画質は滑らかです |
ノイズ対策 | DPSテクノロジー、ノンアンプグローでノイズはかなり少なくなっています |
重量:180グラム | 軽くて接眼部に負担をかけない |
Player One製のCMOSカメラです。画質が滑らかで電子観望でDSO(銀河、星雲、星団)を見るのであればおススメです。
この組み合わせの導入精度は非常に高く、この日はすべて一発導入できました。望遠鏡の水平を正確に出しておけば大きく外すことはありません。
SV705Cはuranus-cの相当品になります
ヘラクレス座M13球状星団を見る
最初は眼視観測でM13を見ました。月はおとめ座のスピカの近くにあり、そのうえ薄曇りです。
30センチの口径のおかげで存在はわかりましたが星の分解についてはさすがによくありません。条件が良ければ中心部の星がキラキラ明滅して美しいのですがボンヤリしています。
すぐに飽きて電子観望に切り替えました。M13は明るい球状星団です。よく見えて当たり前のDSO(銀河、星雲、星団)と言っても過言ではありません。
この日の電子観望もさすがの見え方で楽しませてもらえました。画像は面倒なので保存もしませんでした。
球状星団は中心部のひかりがけっこうしっかりしているので小口径の望遠鏡で電子観望しても楽しめるものが多いです。とくにライブスッタクをかける前は天体を見つけることがひと苦労なので球状星団からスタートするとすぐに見つけることができますよ。
ヘラクレス座系外銀河NGC6181


この日はすべてCLSフィルターを装着しています。装着なしの比較をしていないのでどの程度光害カットできているのかわかりません。まあ空がかなり明るい感じでしたので多少の効果はあったのでしょう。
適当に選んだNGC銀河でしたがちゃんと渦巻きが見えて嬉しかったです。これは口径のおかげです。
拡大すると星が流れて楕円になっていますがいつもこんな感じです。無名の小さなNGC銀河ですが口径30センチと1500ミリの焦点距離で構造がわかったので満足です。
メシエに登録されている銀河であれば13センチ程度の望遠鏡で電子観望すると、けっこう形状や構造を見ることができます
庭でする天体観測は制約だらけ
このあとも銀河を追いかけたかったのですが駄目でした。自宅の庭で観測していたのですが観測できる銀河がありません。
ご近所の室内照明の影響で西の空は観測不可能に近い状況なのです。月齢は関係ありません。
庭からの観測エリアは天頂から東方向です。それと南方向。
建物があるのであまり低いとそれが邪魔になり観測できなくなります。南中したさそり座はどうにか観測できる、そんな感じです。
こんやの月の位置からおとめ座のソンブレロ銀河M104などの系外銀河はみる気がしません。結局、銀河はあきらめて夏の惑星状星雲にしました。
系外銀河は春ですね。夏の夜空になると一気に銀河の数が減ります。そのかわり散光星雲と球状星団がいっぱい出てきます。
こと座のリング星雲M57【惑星状星雲】


ちゃんとドーナツになってますね。惑星状星雲は輝度が高いのでよく映ります。眼視観測でもわりと見える星雲です。
小さな望遠鏡でもリングの形を見ることができます。小さいので見つけるのが大変ですが100倍くらいに拡大しても形状がわかるので、ぜひ自分の目で見ることをおススメします。
実は露出を4秒だけでなく8秒にもしてみたのですがあまり変わり映えがしなかったので4秒のほうだけアップします。
これも薄曇りのわりにはよく見えてますね。この星雲はこと座のふたつの星(3等星)に挟まれた位置にあり探しやすい星雲です。
ところがこの夜はその二つの星を現認することができませんでした。けっこう厳しい状況のなかでよく見えたと思います。
ライブスタックの露出時間は長いほうが暗い光を取り込みます。しかしヒストグラムで見え方を調整したときに見栄えがうまくいかないこともあります。
こぎつね座の亜鈴状星雲M27【惑星状星雲】



亜鈴状星雲も意外とよく見える星雲です。やはり惑星状星雲に分類されますが見た目の大きさがかなり大きくリング星雲よりも迫力を感じます。
ただし場所の特定が難しくて私は手動でこの星雲を導入することができません。いつも自動導入の力を借りています。
13センチの反射望遠鏡でも丸いぼんやりした光芒を意外とハッキリ確認できます。この日は眼視観測したわけではないですが、条件を考えると確認するのは難しかったのではないかと思います。

銀河よりもカラフルなのがいいです
アップした3枚の画像のゲインは537で揃えています。露出時間とスタック枚数が違います。
1枚目が4秒露出の87枚スタック、2枚目が8秒露出で31枚スタック、3枚目が8秒露出の100枚スタックです。
M27に関しては8秒に露出を延ばした成果が出ています。
スタック枚数を変えた2枚目と3枚目ではノイズが少し減ったように見えないでしょうか?
それでも劇的な効果は出てませんね。画像の左に出ている写野回転が大きくなっているのは経緯台で追尾する宿命です。
総露出時間はこれ以上長くするのは難しいですね。
口径30センチで亜鈴状星雲を眼視観測するとなんとなく緑がかって見えるのです。オリオン星雲でも色は感じないのですが不思議です。
SVボニー製CLSフィルターの感想
SVボニー製のCLSフィルターは光のカット幅が少ないためか光害をしっかりカットできるものではありません。
日中にサングラスをかけて外を見ている程度のものだと考えたほうがいいでしょう。
全体的に暗くなって背景が締まる感じでしょうか。おかげでsharpcapのヒストグラムの調整はしやすくなります。
お値段なりの性能ですが住宅街で電子観望するのであればあったほうがいいのではないでしょうか。カラーバランスの崩れは少ないので違和感は少ないです。
本日のまとめ【質より量で望遠鏡の稼働率向上】
思ったよりも楽しめました。もちろん月が無くて快晴であればもっとDSO(銀河、星雲、星団)の形状や構造を楽しめたと思いますがこれだけ見ることができたので満足です。
せっかく持っている望遠鏡をもっと活用するために多少の光害の条件があっても積極的に観測したほうがいいですね。
特にメシエ以外のNGC天体は無数にあります。これからは少々条件が悪くても庭に望遠鏡を出して片っ端から電子観望していこうかな。
多少、品質はさがってもこれまで見たことがなかったDSO(銀河、星雲、星団)をどんどん見るようにしたいと思います!
思ったより見えますよ。せっかく望遠鏡を持っているのなら電子観望で稼働率をドンドンあげていきましょう!
これまでは月があるとDSO(銀河、星雲、星団)の電子観望をしなかったのですがCLSフィルターでどの程度見えるのか挑戦しました。けっこう見えましたよ。これからは月夜でもやってみようかな。