【検証】自動導入の精度とアライメントについて【ceres-cと焦点距離650ミリで電子観望】

小さなセンサーサイズのCMOSカメラを使うときに、いちばん苦労する自動導入経緯台を使った天体の導入についての記事です。条件を揃えた正確な検証ではありませんが多少の参考にはなると思います。自動導入経緯台であれば近い性能だと思います。

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PlayerOneCeres-Cは、IMX224センサーを搭載したエントリークラスのガイディングカメラです。USB3.0搭載で画像の高速転送に対応しているため、通常のオートガイドに加えて、電子ファインダーやプラネタリーイメージング用途でも使用可能です。
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PlayerOneUranus-Cは、IMX585センサーを搭載したCMOSカメラです。アンプグローを抑制するノンアンプグロー機能を採用しており、電視観望にも最適です。
AzgteとAzgtiは性能的には同じ性能のようです。Azgtiにはエンコーダが内蔵されています。手動で動かしたあと、そのまま自動で操作することができます。

電子観望の悩みのなかでも導入の問題は深刻です。画面に目標とする天体を導入するのに四苦八苦では観望意欲もそがれます。

とくにceres-cのようにセンサーサイズが小さいと導入は厳しくなります。

焦点距離650ミリにceres-cは一般的にはお勧めされていないようですが導入できないわけではありません。

しかし困難であることは確かです。どの程度の難易度なのか知っていただくために、実際に観測した時の導入精度の紹介をします。

Azgte経緯台の導入精度ではceres-cを使うのは難しいですが決して不可能ではありません。コツを覚えれば導入できます。

【検証】春のメシエ銀河をceres-cで導入【焦点距離650ミリ】

使用した望遠鏡とCMOSカメラのデータです。ceres-cにはレデューサーはつけていません。まったくのオリジナルでの使用です。

CMOSカメラPlayerOne製ceres-c1/3インチ
望遠鏡SkyWatcher製AzgteP130n口径13センチ焦点距離650ミリ

ceres-cも焦点距離の短い望遠鏡を使えば広い範囲を捉えることができるので導入は楽になります。

この組み合わせはCMOSセンサーの画角が小さいので自動導入で天体を捉えるのが非常に難しくなります。

しかし小さな天体を大きく映し出してくれるのでDSO(銀河、星雲、星団)のなかでも銀河を構造まで見たいときには有効です。

ceres-cは23100円(税込み)とお手頃価格でもあり電子観望のスタートには打ってつけのCMOSカメラだと思います。

ceres-cはコスパの良いCMOSカメラです。画質はそこそこですが感度は非常に良くuranus-cに負けない画像を提供してくれます。

電子観望した日の条件2024年6月7日20時頃から【自宅の庭】

当日の月齢は0.6で観測時には月はありません。場所は自宅の庭です。地方都市の住宅地で街灯や室内照明の影響で4等星は天頂でなんとか確認できるレベルです。

当日は快晴ではなく若干の雲がありましたがスタートした時点の南天には雲は見当たりません。しかし22時頃には全面が雲に覆われてしまいました。

望遠鏡のセッティング【水平は正確に合わせましょう】

望遠鏡はできるだけ正確に水平出しをするようにしました。水平を出すことが導入精度をあげる大事な要素です。

Azgte経緯台はトップに丸い水準器がついています。この水準器の2重〇のセンターに気泡が来るように三脚の長さを調整しながら合わせます。

面倒なようですが慣れると数分の作業です。ここは手を抜かずにしっかり合わせましょう。

水平を正確に出したら望遠鏡のクランプ類をもういちど締めましょう。

SynScanPROのブライトスターアライメントを使う

いつもアライメントはブライトスターアライメントを使います。

2スターアライメントでも精度は変わらないように感じています。

使い勝手はブライトスターアライメントが勝っています。

目標天体おとめ座ソンブレロ星雲M104

最初の目標天体はメシエ104【ソンブレロ星雲】にしました。目標天体の位置からアライメント星を考えます。

アライメント星はふたつ必要です。

ブライトスターアライメントで1個目の導入星候補が出てきます。これは必ず1等星が候補になりますが当日あがってきたのはベガ、ポルックス、レグルス、スピカの4個でした。

自宅の庭では選択できるのはスピカとレグルスです。他はどれも建物が邪魔になって確認できません。

1個目のアライメント星はスピカで決定です。2個目はうみへび座Alphardにしました。こちらは2等星です。

2個目のアライメント候補星は数十個は出てきます。そのなかから目標の天体にできるだけ近い星を選びましょう。

ブライトスターアライメント以外のアライメントについても精度を確認する必要がありますが、こんかいは途中雲が出て、できませんでした。そのうち検証したいと思います。

2個目【Alphard】が視野のギリギリに入っていました

この時点では25ミリのアイピースをつけています。倍率は26倍です。最初からCMOSカメラでアライメントをすることはありません。

ファインダーを正確に合わせておけばアライメントをCMOSカメラですることも可能です。私は正確に合わせてないので眼視でアライメントをしてCMOSカメラに切り替えてます。

スピカをセンターに導入して完了させると自動で2個目のアライメント星に向かってくれます。Alphardはいちおう視野の中に入っていましたがぎりぎりでした。

2個目のアライメント星をセンターに持ってくるとアライメント完了です。

もし視野から外れていても光学ファインダーであれば、すぐに確認できるので2個目の星をアライメントするのは簡単です。

AzgteP130nに標準装備のレッドドットポインターでは2等星を確認するのはけっこう厳しいと思います。

おとめ座のソンブレロ星雲M104は導入成功【スピカ→Alphard】

M104の位置はスピカとAlphardのあいだに挟まれているようなので、たぶん導入できると思っていましたが予感的中でした。

画面の左下にぼんやり見えるのがM104です。この画像は露出時間0.5秒ゲイン450くらいです。

ライブスタックをかける前の画像はこんなものです。このノイズだらけの荒れた画質の中からDSO(銀河、星雲、星団)を探し出します。M104は核の部分が明るいので見つけやすい対象です。

Azgte経緯台の導入精度はこんなものです。水平を正確に合わせましたがそれでもセンターにピタリ導入はありません。

基本的にズレます。導入精度そのものはかなりアバウトです。しかし目標近辺に望遠鏡を向かわせてくれるのは間違いありません。

こんかいはアライメント星との位置関係で条件的に恵まれていたほうなので無事導入できたということです。

PC画面ではもう少し見やすいのですがM104は見つけやすい銀河です。暗い銀河はど真ん中にきていても判別できないことがあります。それでも経験を積めばかなり暗いDSO(銀河、星雲、星団)がなんとなくですが見えてくるのだから不思議なものです。M(メシエ)天体は明るいのが多いです。すぐに画面から見つかります。

おとめ座銀河M58で早くも撃沈【天体観測は厳しい】

2番目の目標天体はおとめ座のM58にしました。M104をセンターに入れてからM58に向かいましたが残念ながら導入できていません。

周囲を探したところ画面右斜め上にずれたところで見つけました。1画面くらいズレていたようです。かなりのズレです

手動で導入してからさらにM86に向かってみました。やはり導入できません。同じような位置にずれています。

M104とM58は少し離れていますが、それでもずれが少し大きいような気がします。画角の小さいceres-cではこのあたりが苦労するところです。【少しズレると画面に捉えることができません】

M104近辺の天体であれば順調に導入はできたと思います。しかしスピカとAlphardをアライメントしている割には導入精度が悪かったように感じました。【原因不明】

再アライメントでM58【アライメント星変更しますスピカ→Denebola】

アライメントをやり直してみました。1個目のアライメント星はスピカ。2個目はしし座の2等星Denebolaです。

獅子の後ろ脚あたりの星になります。AlphardよりはM58に近くなります。導入精度の向上を期待しました。

画面の右上ギリギリのところに入っていました。導入できただけでも感謝するしかないですね。

AlphardよりはDenebolaのほうが導入精度があがるのは間違いないようです。もう少し真ん中よりに入ってほしいのですがけっこうばらつきます。

M58をライブスタックで確認してからM86に向かいました。

Azgteは気分屋で調子のいい時もあるのですが、だいたいこんな感じだと思ってください。

M86もなんとか導入成功

こんども画面の右上ですがすこしセンターに寄ってくれました。私の感想はこれなら上出来です。

一見して銀河だと存在がわかる見え方ではありませんがメシエ銀河といえどもライブスタックをかける前はこんなものが多いです。

ライブスタックをかけるとこんな感じに見えてきます。導入そのままではありませんレイアウトを調整しています。

露出時間4秒、ゲイン450、スタック枚数50枚くらいです。

左がM86、右はM84、下の中央の小さいのはNGC4387です。このあたりは銀河がウジャウジャあるので適当に電子観望していると小さい銀河が入っていることがけっこうあります。

PC画面でNGC銀河の見え方

NGC銀河になるともっと暗いので探すのに苦労しますが、それでも見つけられると思います。

本当に暗いものは0.5秒の露出時間では見つけられないこともあります。露出時間を伸ばしたりヒストグラムを調整しながら探すようにしています。

次はM90を導入【ほんとにすぐ近くの銀河です】

引き続きM90に行きました。すぐ近くなのでまず外れることはありません。

予想通りM86と同じく画面の右上に入りました。右上の白いぼんやりした小さな点がそうです。

このようにずれが一定だと画面に入っていなくても補足するのが容易です。

どの位置にずれているのかを認識するとその後の掃天の効率があがります。

M90はかなり見つけにくい光りかたでした。導入したままでライブスタックしました。

銀河の多いエリアでは導入した銀河が間違っていないか確認する必要があります。ネットの画像で確認しています。

この銀河はちゃんとライブスタックすると渦を確認できます。ライブスタックの掛けがいのある銀河です。

M90の右上に見えている白い模様はアンプグローノイズだと思います。

ceres-cはこのノイズの処理ができていないのでけっこう目立ちます。弱点です。

ずれる位置は一定のケースが多いので探す見当がつけやすいです。どの位置にずれていたのか覚えておくようにしましょう。

無理を承知でM51に挑戦!もちろん粉砕されました。

あえてりょうけん座のM51親子銀河を攻めることにしました。移動距離が大きく無理だろうとは思いましたが無理でした。

周辺を掃天してみましたが見つからないし北のほうから雲が出てきました。とりあえず再度アライメントをやり直しました。

こんどは1個目のアライメント星をベガ、2個目は北斗七星のMerakです。M51を導入しましたが画面から少し外れていました。

大きく外れていたわけではありませんが画面に捉えることはできませんでした。そうこうしているうちに雲がみるみる空を覆いだしたのでテンションが下がって本日終了です。

結論としては南天でアライメントした望遠鏡を北天まで導入に使うのは無理みたいです。当たり前ですが‥

アライメントは面倒くさがらずに頻繁にやりましょう。そして目標近くにある2等星をアライメント星にしたほうが導入精度も上がります。

本日の成果M90【ライブスタックしました】

露出時間4.0秒、ゲイン500、スタック枚数75枚。トリミングして見栄えを整えました。

天体望遠鏡に関しての記事はこちらからです
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