この記事ではもっとも手軽な天体観測の機材である双眼鏡について、その特徴と使い勝手についてSVbony社SV40【口径42ミリ10倍】を実際に使用した体験をもとにできるだけ具体的にイメージを感じてもらえる内容で語ります。そして双眼鏡による自由で気ままに星を見るという行為がどれほど単純でありながら感性を豊かにしてもらえるのかが伝わればよいのですが・・
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SVBONY SV40 双眼鏡 10倍 42口径【アクロの安いタイプです】
口径42ミリ倍率10倍 | 実視界 5.8度 アイレリーフ13.6ミリ |
アクロマート・フルマルチコート | アイカップ:ツイストアップ |
視度調整付き | 防水 |
今回購入したSVBONY SV40 についての光学性能、製品の位置づけ、全体的な仕様、製品としての完成度について解説します。
通常アマゾンで6580円ですがプライムセールのおかげで税込み5600円くらいで購入できました。
ダハ式と呼ばれる光学形式で高級品ではありません。入門機の位置づけです。SVBONY社で上位機種になるとEDレンズを使います。価格は倍以上になります。
アクロマートとEDレンズの違いは色収差です。EDレンズは色収差をできるだけ少なくするために材質が違います。色収差は見え味を落とす大きな要素です。
SVBONY社という光学メーカー【中国製】
この会社が出している商品はとにかく安いです。価格破壊が販売戦略と言ってよいわかりやすい会社です。
品質に関しては様々なようです。レビューでぼろくそ書かれているケースもあります。私の印象はコスパが良い!これにつきます。
よく言えば「実用的」。とりあえず実用性はあると思います。所有の喜びを求める人はやめたほうがいいでしょう。
仕上げとか梱包とか【SV40 双眼鏡 10倍 42口径】
ポチッた翌々日には届きました。普通に段ボールに入っています。特別厳重な梱包というわけではありません。
この梱包でも安心とは言えませんが最低限ではあると思います。こんかいは運よく無傷でした。
製品はおもちゃの様なつくりではありません。樹脂の手触りも悪くない。異臭もしません。接合部の仕上げもよし。フォーカスの動きはもちろん全体の作動部がしっくりしています。
ケースとストラップはそれなりです。使えますが高級感はなしですね。小さな取説と レンズクリニッククロースが付いています。
双眼鏡としての用途
オールラウンドで使える双眼鏡として案内されています。コンサート、ライブ、野鳥観察、スポーツ観戦、自然観察等々です。天体観測用というわけではありません。
アウトドア、キャンプ、車中泊は相性がいいでしょう。活用の幅が広がります。
日中に使ってみた感じ

昼間に使った印象ではすごくよかったと思いました。私が持っているもう一台の双眼鏡はセレストロン製の口径80ミリ20倍です。
像を比較すると明らかにシャープです。日中なので風景を見ることになり発色やシャープさが気になりますがSVBONYの圧勝です。
倍率が違うせいかもしれないのですがそれだけの問題ではないように感じています。色収差がほとんどわからないほどです。
周辺像はとうぜん歪みますが気にはなりません。光学製品は見慣れていくと不満な部分が気になるものですが今のところ感じません。
ニコンや他メーカーの同等品に負けない見え味です。しかも価格は半分以下です。
双眼鏡でする自由で手軽な天体観測
以下の項目では双眼鏡による天体観測の実際と事前に知っておくべきことについてです。望遠鏡を使ってする天体観測とは違う双眼鏡ならではの良さと弱点について語ります。
もし何かに癒しを求めているのであれば双眼鏡はとても良いアイテムだと思います。
【推し活】に天体観測それも双眼鏡でするライトな星見はどうですか。
双眼鏡で天体観測するのは意外と不便!
人間の首は長時間上向きにすると苦しくなります。顔の正面から下に向かっては長時間でもそれほど苦にならないのですが天体観測はすべて正面よりも上になります。
20倍の双眼鏡は口径も大きいしDSO(銀河、星雲、星団)を観測するのに両目でゆっくりできると考えて購入したのですが失敗しました。
三脚に載せて使っていますが、とても長時間使えるものではなかったです。まともに観測できるのはいて座とさそり座の星雲と球状星団くらいです。
たぶん1分間も見続けることができないです。観測姿勢が不自由で持ちません。そこで手持ちで使える双眼鏡が欲しくなったのです。
倍率も20倍になると手持ちでは観測できません。かならず三脚が必要になります。
手持ちで使う双眼鏡を選択【個人差あり】
- 軽量であること
- コンパクトであること
- 倍率は10倍以内
手持ちで自由に観測できるには長時間保持できる重量と大きさ、そして手持ちでも視野がぶれない倍率が必要です。
レンズ口径が大きいほうが性能が良いという思い込みが強いので10倍 42口径 にしましたが8倍32口径の選択もあったかなと思っています。
こちらのほうが使いやすいのは間違いないと思います。10倍だとすこしぶれが気になるのと重さが気になります。
この重量と大きさはよく考えて選びましょう。自由に取り廻せる大きさでないと楽しく使えなくなります。
双眼鏡の使い方【誤解されないようご近所に配慮してください】
- 目幅を合わせる
- 視度調整をする
- ピントを合わせる
1と2は明るい日中に合わせておきましょう。3のピントについてですが天体はピントの山の位置がわかりづらいのでなれる意味で日中にできるだけ操作して動かす感覚を掴んでください。
天体観測時は自分で気が済むまでピントを動かして一番よく見えるピントの山を見つけましょう。
双眼鏡を使う観測姿勢について
もちろん立って双眼鏡を構えても見えますが像はぶれます。できるだけ態勢を固定します。椅子か寝ころぶのがいいです。または何かに寄りかかる。肘を台に載せて動かないようにする。
折りたたみのパイプ椅子で寝そべる形で見るとかなり高度の高い天体も観測できます。それ以上は寝ころんでの観測です。
いくら観測姿勢を固定しても10倍以上だと手振れを抑えるのは至難です。使いやすい倍率は10倍以内です。
自由に星が見れるって楽しい!
観測地はかなり奥に入った山の中なので周りに人工の光はありません。2キロくらい先にダムの管理棟にある照明が小さく見えるくらいです。
35度越えのうだるような暑い日でしたが観測地に到着して30分もしないうちに長袖を羽織りました。さすがに夜が更けると山の気温は違います。
空には雲が少しありましたが透明度が非常によかったので天の川がいつもより良く見えました。星が力強く瞬いています。
肉眼で夜空に瞬く星を見るだけで楽しいです。とくに天の川は素晴らしい。みなさんいちどは天の川【銀河】を自分の目で見てください。あのぼんやりした神秘的な光を!
いて座とさそり座にかかる天の川はDSO(銀河、星雲、星団)の宝庫
この双眼鏡でさそり座のアンタレスを見ると左右にある3等星を同時に見ることができます。近くのM4球状星団も見えます。5等級のかなりはっきりした丸い光芒が視野に入っています。
周りに人工の光が氾濫している街中ではこうはいきません。背景が暗く薄い光でもコントラストの高さで存在がよくわかります。
M8干潟星雲の存在感は特別
小さな双眼鏡でもたくさんのDSO(銀河、星雲、星団)が見えますがM8干潟星雲はとくに印象的でした。刷毛ではいたような白い半透明な光です。大きさと明るさで存在感が際立ちます。
それに比べるとM8のすぐ上にあり同じ視野内で見ることができるM20三裂星雲の明るさはかなり落ちます。なんとなく光が滲んで見える程度です。
M16わし星雲、M17オメガ星雲も見えますがM8干潟星雲に比べると光が弱いです。滲んだ薄い光のシミが見えるといった感じです。
球状星団M22はすぐに見つかる
M8からすこしだけ左に振りましょう。双眼鏡の高さはそのままです。丸いぼんやりと光る光芒が見えます。
これが球状星団M22です。先ほど見たM4よりも大きくはっきり見えると思います。この星団は北天ではヘラクレス座M13と並ぶ球状星団のチャンピョンです。
双眼鏡では星雲状ですが口径10センチの望遠鏡で見ると周辺の星が分解されてザラついた感じを受ける星団です。
それでもゆっくり空を流しているとそのシミに気づきます。いままで見えなかったものに少しづつ気づいていくのがわかります。
この辺りは適当に流しているとぼんやりと輝く星雲上の光のシミがいくつかあります。そして天の川のぼんやりした、つかみどころのない光も双眼鏡でよくわかります。
どこをみても星だらけで飽きることを忘れました。しかし首に負担はかかります。
この辺りが天の川銀河の中心部になります。太陽系は外縁部にありそこから銀河の中心を見ているためとくに分厚く明るく見えます。
やはり首の負担はあります
さそり座やいて座は星座のなかでも地上に近いほうで高度は高くありません。それでも双眼鏡を使っていると首が疲れます。
折りたたみの椅子に寄りかかっての観測姿勢です。身体が固定でき首への負担が少なくなります。双眼鏡で立ち姿勢の観測も無理ではないですがけっこうぶれます。10倍が限界ですね。
DSO(銀河、星雲、星団)は見かけの大きさが大きいものが多いので8倍でも問題ないと思います。
双眼鏡で星を見るということ
たかだか10倍の拡大率なので月や惑星をみても特別な何かが見えることはありません。しかしDSO(銀河、星雲、星団)は見かけの大きさがけっこう大きいものがあります。
具体的には満月相当の大きさの天体もたくさんあります。大きいけれど光が弱くて肉眼ではとらえきれないのです。
M8、M20、M16、M17は宇宙空間に漂っているガス星雲です。暗いだけで大きさは満月以上です。
双眼鏡の口径が弱くて薄い光を捉えてなんとか肉眼で見えるようにしてくれます。天体写真のようではありませんがうっすらと光るシミを見つけると嬉しくなります。
- オリオン星雲M42【見つけやすく明るい】
- アンドロメダ銀河【ぼんやり光る巨大な光芒】
- スバル星団【視野に広がる星】
- そのほか散開星団
両目で見えるのがアドバンテージ
とにかく楽です。人間は両目で見るように作られているのでしょう。望遠鏡とは比較になりません。
片目で観察する望遠鏡と違い何時間でも見ていられます。
星や宇宙を身近に感じる双眼鏡というツール
コンパクトで軽い双眼鏡は使うハードルを下げてくれます。少しの時間でも晴れてさえいれば星を見ようという気持ちにさせてくれます。
星を見るとなんとなく自然に触れた気持ちになります。
都会でできる天体観測
あふれる街灯や室内照明で空が真っ暗とは言えないのですが、それでも夜になると星が出ていることを感じると思います。
双眼鏡で夜空を見上げると都会の空でも意外と星を見ることができます。オリオン星雲やアンドロメダ銀河は都会でも見ることができるDSO(銀河、星雲、星団)です。
なんとなく1等星の輝きを見ているだけで癒されるかもしれません。目的もなく夜空を見ているだけの天体観測も悪くないものです。
アウトドア、キャンプ、車中泊など野外で楽しめると思います。荷物にもならないし高価な双眼鏡ではないので遠慮なく使い倒せるのではないでしょうか。