天文趣味は望遠鏡だけじゃない、こんな観測方法もあるぞ【紫金山・アトラス彗星が肉眼で見えるかも!】

天体観測のやり方

これから趣味で天体観測をはじめようという方に知ってほしい望遠鏡を使うだけじゃない、いろいろな観測方法を紹介します。緊急ニュースが発生しました紫金山・アトラス彗星が肉眼で見えるかもしれません!

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緊急ニュース!紫金山・アトラス彗星は肉眼で見えるかもです

数年にいちどのチャンスが来ました。望遠鏡や双眼鏡がなくても彗星が見えるかもしれません。

彗星は毎年のように観測できますが肉眼で見える彗星はめったに現れません。

紫金山・アトラス彗星は1.5等級にまで明るくなるかもしれません。ひょっとすると長い尻尾も見えるかもです。

彗星の光度は太陽に近いほど明るくなります。紫金山・アトラス彗星は太陽から離れていく途中なので少しずつ暗くなっていきます。

紫金山・アトラス彗星の場所10月12日以降【夕方出現!どんどん変わります】

夕方です。日没後の西の空を観察しましょう。肉眼でも見えるかもしれませんが双眼鏡があればなおよし!

実際に見えてくるのは15日くらいからだと思います。12日はまだ低すぎて見つけるのは難しいでしょう。

紫金山・アトラス彗星は太陽から少しづつ離れていく途中です。西でも太陽が沈んだ方向をよく見てください。

日没後の薄明かりのなかで見つけることになります。

紫金山・アトラス彗星の観測に最適な期間は16日~20日のあいだです。

表は国立天文台のサイトから引用させていただきました。かなり明るくなるようです。期待したくなるデータではないでしょうか。

日付時刻方位と地平高度明るさ
10月16日18時04分西南西17度2~3.5等
10月17日18時03分西南西21度2~3.5等
10月18日18時01分西南西24度2~3.5等
10月19日18時00分西南西26度2.5~4等
10月20日17時59分西南西28度2.5~4等

ここまで明るくなる彗星はめったにありません。数年に一回あるかないかです。

彗星観測に必要な機材について【小型低倍率の双眼鏡】

望遠鏡はあまり意味がありません。全体像が入らないからです。

望遠鏡で見えるのは紫金山・アトラス彗星のあたまのアップです。それはそれで楽しいかもしれませんが彗星は全体を見るのをおすすめします。

長く尾を引いている姿を一生に一度は見ておきましょう。こんかいは自分の目で見えるかもしれません。

できれば双眼鏡を用意してください。オペラグラスでも大丈夫です。軽くて低倍率のほうが観測しやすいです。

双眼鏡は口径3センチあれば充分。倍率も10倍以下のできるだけ低い倍率。とにかく夕暮れの明かりと街の灯りの影響を受けやすい天体です。どんな小さな双眼鏡でも彗星観測を助けてくれるでしょう。


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以上、ここまで紫金山・アトラス彗星についての緊急ニュースでした。

天体観測に必要なもの【ここから彗星の記事から離れて本来の内容です】

まだ星が見えるのであれば大丈夫。窓から空が見えるのであれば大丈夫。

星座と星の名前を覚えて夜空を見ましょう。

望遠鏡がなくても天体観測はできます

天体観測をするには必ず望遠鏡が必要だと思われているようですがそんなことはありません。

望遠鏡がなくてもできる天体観測もあります。裸眼でもできる、そんな観測方法を紹介します。

宇宙や星に興味を持たれたのであれば望遠鏡を購入する前に自分の目で天体を楽しみましょう。

望遠鏡なしでもできる観測方法のリスト

望遠鏡を使わない裸眼による天体観測にはこんな対象があります。

  1. 星座と星名を覚える
  2. 惑星を覚えて運航を観測する
  3. 流星群の観測
  4. 変光星の観測

1.星座と星名を覚える【望遠鏡のアライメントに必要になります】

日本中が光害だらけのなかで星座をおぼえるのは案外大変かもしれませんが趣味のスタートにはぜひ星座にトライしてください。

日本から見える星座をすべて覚えなくても代表的な星座だけでも頭に入れると便利ですよ。天体のだいたいの場所は星座で案内します。位置を掴むのには星座の知識がいります。

季節によって代表的な星座があるのでそこから覚えましょう。そして1等星は見つけやすい大事な目印です。赤道儀や経緯台を使う時はアライメントに1等星を使います。おぼえて損はありません。

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裸眼にかけて使用するメガネです。メガネの上からかけることもできます。星空をよりはっきり見せてくれるメガネです。

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代表的な星座と1等星【セットでおぼえると早いですよ】

季節の代表的な星座をあげてます。このあたりを覚えておくとなにかと便利です。なかには形を掴みづらい星座もあります。

反対にこれ以外にも覚えやすい形の星座があります。星の並びで星座をおぼえていくのも楽しい観測です。

星座名と星座の形が結びついてイメージしやすいものばかりではありません。基本は1等星を覚えればアライメントの役に立ちます。

オールシーズン出ている北極星【こぐま座】

こぐま座北極星周辺には目立つ星はありません。2等星ですが目立ちます。基準にすることが多いのでおぼえておくと便利です。星座はちいさな柄杓の形をしています。

春の星座

しし座1等星レグリス1等星とはいえあまり明るくないのですが周りに明るい星がないので、すぐにわかります。星座の形が獅子をイメージしやすいです。
おとめ座1等星スピカどうして乙女の形なのかわかりませんが、とにかく覚えてください。このあたりは銀河が密集している地域です。DSOサーフィンするためにも気合でおぼえましょう。
うしかい座1等星アルクトゥルスかなり明るいオレンジ色の1等星で目立ってます。
おおくま座北天にあります1等星はありませんが北斗七星だけはおぼえましょう。メシエ銀河のメジャーなのがこの近辺にたくさんあります。北斗七星をアライメントに使うと導入精度も上がります。おぼえて後悔しない星座です。星座のかたちは大きすぎてイメージを掴むのは難しいかな‥

夏の星座【天の川のいちばん明るい部分です。感動の美しさ!】

さそり座1等星アンタレス赤く光る1等星です。少し暗いほうですが赤色ですぐにわかります。星座の形も、まさしくサソリをイメージさせてくれます。
いて座1等星ありませんさそり座のすぐ左で南斗六星がひしゃくの形でわかります。この辺りは夏の散光星雲と球状星団が大量です。天の川のいちばん明るいところです。
こと座1等星
ベガ
ベガはかなり明るく目立つ1等星です。夏の大三角の基準になるのでおぼえましょう。
はくちょう座1等星デネブおおきな十字を作っています。いちどおぼえたら忘れられない形をしています。
わし座1等星
アルタイル
ベガとデネブにくらべて低い位置にある1等星です。夏の大三角をイメージするとすぐに見当つきます。

秋の星座

みなみのうお座1等星フォマルハウト南空の低いところにある星座です。地味な星座ですがまわりに明るい星がないのですぐに見つかります。
ペガサス座1等星はありません2等星でできた4角形が覚えやすいです。
アンドロメダ座1等星はありませんペガサス座につながっています。同じような等級の星が4個連なっています。これも覚えやすい星座です。
北の空にはカシオペア座ですペガサス座から探しても見つけやすいです。もちろん北極星から小さな柄杓を探すのもありです。

冬の星座【寒いですが冬の星座は見ごたえあります】

オリオン座一番見やすい高さに南中してくれます1等星は2個覚えやすい三ツ星とそれを囲む四つの星。1等星は青いリゲルと赤いベテルギュース。勇者の形もイメージしやすいですよ。
おうし座1等星はアルデバランアルデバランからはじまるV字でおぼえましょう。ここが牛の頭です。オリオンに向かう獰猛な牡牛が思い浮かびませんか。
おおいぬ座抜群に明るい1等星シリウスほかの1等星を寄せつけない鋭いひかりです。オリオン座のすぐ左下を観察してください。
こいぬ座1等星プロキオンオリオン座のすぐ左で輝いています。
ふたご座1等星ポルックスカストルは2等星ですが1等星に匹敵する明るさですし、ポルックスに並んで見えるのでわかりやすい星座です。
ぎょしゃ座1等星はカペラ北天にあります。オレンジに輝くカペラがかなり明るく目立つ星です。

自然の中でぼんやりと天の川を見ているだけで癒されます。太陽系は天の川銀河の一員だと考えると妄想がどんどん膨らんでいくような気分になります。

2.惑星を覚えて運行を観測する【天王星、海王星は裸眼で見えません】

惑星はかなり明るい星が多いので肉眼で確認するのはそれほど難しくありません。しかし位置は少しづつではありますが変わっていく天体です。

星座をおぼえたら惑星も覚えましょう。星座のなかで惑星がどの位置にあるかを観測しましょう。少しづつ位置を変えていくのですが奇妙な動きをすることがあります。

木星や土星は毎日見ていてもほとんど位置の変化はわかりませんが少しづつ動いています。位置を記録しておけば移動していることが確認できます。

水星と金星は毎日見ていると動いて位置が変わっていきます。

水星と金星は内惑星になります

惑星とは太陽の周りをまわっている衛星です。水星と金星は地球の内側を公転している内惑星です。

内惑星の水星と金星は地球から見ると太陽の近くに見えます。そのため夜中に見ることはできません。日没後か日昇前だけ観測することができます。

しかも公転の速度が速いために位置の変化がかなり激しいものに見えます。日々見える位置が変わっていくことがわかります。

金星は全天でいちばん明るく輝く星です。月を除けば圧倒的な明るさですぐにわかる星です。水星は太陽に近く見えるチャンスは少ない星です。1等星ではありますが空がまだ明るい時間に見える星なので見る機会が少ないでしょう。

火星、木星、土星は外惑星になります

地球の外側を公転している火星、木星、土星【天王星、海王星】は外惑星になります。

火星は2年2か月ごとに地球に接近します。そのあいだに等級の変化が激しい星です。さらに赤く輝いてかなり目立ちます。

木星は安定して明るい星です。土星はそこまで明るく輝いていません。それでも1等級はあるのですぐにわかると思います。

木星と土星は何年も見ていると動いていることがわかります。年月の経過を感じる惑星です。

奇妙な動き【逆行】の観測

通常はすべての惑星は西から東に少しづつ動いていきますが、東から西に逆戻りするように動く時期があります。それが逆行です。

めずらしい現象なのでぜひご自分の目で確認してください。古代から不思議な現象として注目され占星術に影響を与えているようです。

日常では意識することのない運動です。古代人を非常に悩ませてきた動きでこれを説明するために高度で複雑な理論を提唱していました。

惑星の光度の変化を意識しましょう

すべての惑星は地球の公転と惑星の公転の影響で距離が大きく変わります。

距離に伴って光度も変わっていきます。かなり変化します。

惑星によっては距離だけでなく三日月のようになっているときや土星の環のように傾斜によって明るさを変えてきます。

光度の変化はそれぞれ理由があり明るさに反映しています。

流星群の観測

流れ星はいつでも見ることができますが決まった時期に決まったところから出る流星群があります。

観測するには裸眼で流れていく星を追いかけていきます。双眼鏡も望遠鏡も使いません。

流星の出る位置によって星座名がつけられています。代表的なものに以下の流星群があります。

流星群名流星出現期間(注1)極大(注2)極大時の
ZHR(注3)
極大時1時間
あたりの流星数
(注4)
しぶんぎ座流星群12月28日 -1月12日1月4日頃12045
4月こと座流星群4月16日 – 4月25日4月22日頃1810
みずがめ座η(エータ)流星群4月19日 – 5月28日5月6日頃405
みずがめ座δ(デルタ)南流星群7月12日 – 8月23日7月30日頃163
ペルセウス座流星群7月17日 – 8月24日8月13日頃10040
10月りゅう座流星群
(ジャコビニ流星群)
10月6日 – 10月10日10月8日頃205
おうし座南流星群9月10日 – 11月20日10月10日頃52
オリオン座流星群10月2日 – 11月7日10月21日頃155
おうし座北流星群10月20日 – 12月10日11月12日頃52
しし座流星群11月6日 – 11月30日11月18日頃155
ふたご座流星群12月4日 – 12月17日12月14日頃12045
出典 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台
  • 注1:一般的な出現期間。この期間なら必ず流星が見られるということではなく、非常に流星数が少ない時期も含む。IMO(International Meteor Organization)のデータより。
  • 注2:一般的な極大日。年によって前後1~2日程度移動することがある。なお、流星群によっては、極大日が毎年必ずしも一定でなく、年により数日から数十日ずれるものもある。IMOのデータより。
  • 注3:極大時に放射点が天頂にあり6.5等の星まで見える空で観察した場合、という理想的な条件に換算した1時間あたりの流星出現数。
  • 注4:日本付近で、極大時に十分暗い空(薄明や月の影響がなく、5.5等の星まで見える空)で観察したときに予想される1時間あたりの流星数。 街明かりの中で見たり、極大ではない時期に観察したりした場合には、数分の1以下となることがある。

流星観測の方法

観測時間は最低でも15分くらいは必要です。観測姿勢は重要です。椅子に座ったり寝そべった安定した姿勢を確保してください。

次の4項目に注意して観測しましょう。

  1. 活動が活発な流星群が極大の時刻前後
  2. 放射点が高い
  3. 月明かりがない
  4. 人工の明かりが少なく、空が広く見渡せる場所

意外と流れ星は多いのですが、そのなかに群れで流れていくものを見つけると感動します。

紙に流れた流星を矢印で書き込んでいくと放射点の見当がついてきます。

変光星の観測

変光星は明るさが変化する星のことです。大まかに爆発型変光星、脈動変光星、回転変光星、激変星、食変光星(食連星)、X線変光星の6種類に分類されます。

有名な変光星にはミラとアルゴルがあります。星を同定できれば肉眼でも変化を実感できる変光星です。

くじら座ミラ2.0~10.1等級の変化を332日の周期で変化します。
ペルセウス座アルゴル2.1~3.4等級の変化を68時間49分の周期で変化します。

肉眼で観測できる変光星を紹介しました。変光星は無数に確認されています。

自分の目で触れる宇宙の不思議

宇宙は不思議のイメージは誰もが持っていると思いますが少しかじっただけでも本当に不思議な世界だと感じると思います。

それは宇宙の現象、形状、スケールすべてにおいて言えるのではないでしょうか。

天体観測を趣味にするとそんな宇宙の不思議にもっと触れることができます。

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