アクロマート式屈折望遠鏡を使った電子観望を住宅街でやる。街灯、室内照明などの悪条件の中でDSO(銀河、星雲、星団)がどれくらい見えるのだろうか?天体観測の現実を受け止めながら簡単で誰でもできる電子観望に挑戦します!
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趣味に天体観測するには光害は受け止めないとだめですね
このブログは天体観測の中でも電子観望をもっとたくさんの人にやってもらいたくて公開しています。
天体観測の中でもDSO(銀河、星雲、星団)はとても暗い天体で街灯や室内照明のような人工の光の影響を受けやすい天体です。
当然、都市や市街地のような人工の光があふれているところは観測が不利です。がんばって暗い山に行って観測しましょう。
しかし現実はそんなにしょっちゅう遠征できる人はいないでしょう。光害のもとでなんとか電子観望していくしかないのです。
私の光害状況【参考までに】
地方都市の市街地ですがそれほどの光害地域でないのは確かです。それでも住宅地なので街灯はあるしご近所はカーテン越しに室内照明を垂れ流してくれます。
夜中でも煌々とカーテンのない部屋から照明を氾濫されているおうちもちらほらあります。
それでも天頂あたりになるとけっこう暗い星が見えることがあります。高度が低くなるとだんだん白っぽくなってくるのは仕方ないですね。
北極星のあるこぐま座を見ると小さい柄杓を全部確認するのは厳しいです。北極星も天気次第のところがあります。
透明度が悪いとギリギリ見えるかなです。それでも今の日本の空で考えれば特別悪条件ではないでしょう。そんな中で電子観望しています。
2025年4月26日・まあまあ晴れで電子観望
21日に山の中まで行って電子観望したところ口径8センチでもけっこう見えました。そこで今回は同じ天体をあえて自宅で電子観望します。
同じくらい見えてくれたらうれしいのですが、それは無理でしょう。それでもどの位なのかに興味がわきます。
アクロマート屈折・STARQUEST 80【コスパいいです】
スカイウォッチャー製の口径8センチ焦点距離40センチ【F5】のアクロマート式屈折望遠鏡です。
F5なので色収差はけっこう出ます。月、惑星はカラフルで締まりがない像になります。DSO(銀河、星雲、星団)の眼視観測用の望遠鏡といったコンセプトの製品でしょうか。
そのまま電子観望すると色収差で星が肥大します。3等星くらいで画面ではボンボリみたいになってます。
IRUVカットフィルターが色収差対策の手段です。3580円と安いのでありがたいです。
CMOSカメラはuranus-c【72600円】
IRUVカットフィルターはカメラの前面にクルクルとねじ込むだけです。最初からCMOSカメラ側にメスネジが切ってあります。
ちなみに経緯台はAzgte自動導入機を使います。STARQUEST 80を取りつけるとけっこういい感じです。
小さな望遠鏡なので経緯台への負担がいかにも少なそうに見えて安心します。
IRUVカットフィルターは必須ですよ
今夜のテーマは北天の3銀河がどこまで見えるのか
空の暗い山でやった電子観望ではそれなりに銀河の形を見ることができたのですが、自宅ではどうかな?
趣味に電子観望をはじめても遠くの暗い空に遠征できるのは限られています。やっぱり多少明るい空でもどれくらい見えるのかが勝負です。
そこで観測対象は先日、山で見た3銀河にしました。天体観測は天気や観測地の状況など同一条件にすることは不可能です。
それでも悪い条件のなかでどの程度の見え方になるのか多少は参考にできるように努力だけはしました。
おおぐま座M81ボーデの銀河からスタート【露出8秒ゲイン567】

最初から露出8秒でいきます。スタックは66枚。そこそこ渦巻き出ています。でもM81はもっと渦巻きが欲しいですね。
やっぱり空が明るいからヒストグラムの調整ではこれ以上出ません。映りはしましたが微妙な感情です。M81の美しい姿を知っていると納得するのは難しいです。
CLSフィルターつけてました【露出15秒ゲイン567】

ここからCLSフィルターを付けて電子観望しました。スタック43枚。
少しでも空の明るいのを抑えようと思ってCLSフィルターをIRUVカットフィルターの前に重ねて付けました。
その分露出時間は倍以上になります。効果の判定は微妙です。フィルターなしで15秒露出をやってないので判断できません。
SVボニーのIRUVカットフィルターの前面にネジが切ってありCLSフィルターを重ねるだけなのですがしっかり嵌っていない感じです。ネジがひと山入っているぐらいです。ネットでは重ねるのは無理となっている方もあり、たまたま私のが取り付け可能だったのかもしれません。他メーカーでは取り付け可能を謳っているところもあります。購入には気を付けてください。
30秒露出に挑戦【経緯台では限界のような気がします】

15秒露出がうまくいったので調子に乗って30秒まで延ばしました。ゲインは567でこの画像はスタック14枚です。
15秒とそんなに変わらないようですが元画像では銀河の腕が少しハッキリしているような気がします。
さらにノイズも少なくなっています。まあ劇的によくなったとは言えませんが30秒なんてやったことなかったのでうれしかったです。
さらに30秒露出でスタック24枚

スタック枚数を増やしたら画質の向上よりも写野回転が気になりました。総露出時間が12分ですから仕方ないですね。
期待した映りとは言えないですね。M81の高度はけっこうあるのでCLSフィルターなしのほうが良かった気がします。
Azgte経緯台で12分間はキツイです。そもそも経緯台と三脚の剛性がそこまであるような製品ではありません。
りょうけん座親子銀河M51をアクロマートで電子観望

露出時間8秒、ゲイン567、スタック枚数36。背景がM81よりも暗いのはヒストグラムを自分でいじりながらあぶり出しをやっているからです。
その場で見やすい画像を作っているのでその都度、感じが変わります。暗いほうが宇宙っぽくてこっちのほうが好きなのですが、暗くすると薄い光が埋もれてしまうし悩ましいです。
ちょっと小さいので迫力不足です。
ズームは66% 露出時間8秒スタック枚数40

これくらい拡大して丁度ではないでしょうか。うっすらですが子銀河につながる腕も見えます。
親銀河の回転する腕に濃淡があるのですがちょっと弱いですね。どうせならコントラストがもっと欲しい。
露出時間15秒ゲイン567スタック枚数21

少しハッキリしてきました。微妙ですが‥
もう少し構造が見たいです。
ズームで66%にしてみた

8秒よりは見えているように思うのですがどうでしょう?
それでも寂しいです。ヒストグラムをうまく調整したらもっと見えるかもです。
M51も30秒露出にしてみました

スタック枚数は10です。背景も少し明るいので全体的に構造がハッキリしてきました。
露出を長くしたからよく見えるのかヒストグラムでよく見えるのか?判断はつきかねます。
ズームは66% 露出時間30秒スタック枚数11

そのまま大きくするとこんな感じです。これで少し達成感の最低ラインに到達しました。
本日の到達点です!スタック枚数20

頑張って30秒を20枚です。星も少し流れましたが華奢なシステムでよく頑張ってくれました。
渦の構造が良く出てきました。口径8センチで経緯台の短時間露出がベースの画像です。贅沢は言ってられません。もっとハッキリ見たいけどそれは次回にします。
10分30秒の写野回転

けっこうズレました。拡大したらトリミング処理できます。これが経緯台でする電子観望なのです。
おおぐま座回転花火銀河M101

華やかで大きくて見事な回転を見せてくれるM101です。愛称は回転花火ですからとっても美しい銀河なのです。
見えたらの話ですが。
眼視観測では30センチの反射望遠鏡で見ても回転はさっぱりわかりません。それも山の中でした観測でそれです。
この8秒露出がいちばんよく出ました。15秒にしても時間ばかりかかって変わりません。
回転花火銀河M101露出時間15秒スタック枚数29

ズーム66%露出時間15秒スタック枚数31

31枚もスタックしたのに残念な画像です。腕の悪さと天気のせいです。
大きな銀河で見えたら迫力満点なのですがまだアクロマートは初心者なので限界です。
30秒に延ばしたらSynScanアプリが暴走し始めました。これはよくあることです。
長時間連続で使用しているとちょくちょく起こります。これも電子観望の醍醐味のひとつでしょう。
そういうわけで露出時間30秒は失敗しました。
本日の反省【市街地でするアクロマート8センチの電子観望】
たくさん画像をアップしたので各自で判断してください。
ぜんぜん見えなかったわけではないので楽しかったです。口径が8センチのうえ経緯台でする電子観望は長時間の露出には耐えれません。
こんかいは30秒という自分史上最長時間で勝負しました。これまでは反射望遠鏡が65センチの焦点距離で振動や風の影響を受けやすくほとんど4秒でした。
8秒でも長いのに30秒ができたのは鏡筒のSTARQUEST 80が焦点距離40センチとコンパクトな望遠鏡だったからでしょうね。
そのてん扱いやすい望遠鏡だと思います。
趣味の電子観望を考えると自宅でやれるのが一番大事だと思います。私の自宅はそこそこ市街地でもっと過酷な光害の地域ではここまで出すのは大変かもしれません。
これからも参考にできるかもしれない画像をアップしていこうと思います。
もっとよく見えたら楽しいでしょうね。