天体望遠鏡の焦点距離【650ミリ】とCMOSカメラのセンサーサイズ【画角】の組み合わせについての説明と問題点、相性についての解説とおすすめ機種の紹介についての記事です!
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初心者が電子観望をはじめるときに望遠鏡とCMOSカメラの相性で悩むことがあります。大人であれば自分の趣味を確実に理解したうえでもっとも相応しいものを選ぶべきでしょう。
確定した結論はありませんが初心者が趣味で電子観望をはじめるためのコストと満足感の両方を、できるだけ高い次元で得られる材料を示したいと思います。
おすすめ望遠鏡とCMOSカメラ【10~15万円】
当サイトのおすすめ望遠鏡とCMOSカメラです。選定基準にはコストをふくめて選びました。
反射望遠鏡 | 口径 | 焦点距離 | F値 | 金額(税込み) |
virtuoso DTi P130 ヴィルトオーソ | 13センチ | 65センチ | 5 | 55242円 |
BKP130 AZ-Go2 | 13センチ | 65センチ | 5 | 64900円 |
CMOSカメラ | センサー | 解像度 | センサーサイズ | ピクセルサイズ | 金額(税込み) |
ceres-c(ケレス) | IMX224 | 1304×976 | 4.9×3.7(1/3型) | 3.75ミクロン | 23100円 |
uranus-c(ウラヌス) | IMX585 | 3856×2180 | 11.2×6.3(1/1.2型) | 2.9ミクロン | 72600円 |
セットで10万円以内から電子観望を楽しむことができます。
電子観望の望遠鏡とCMOSカメラは目的を明確にしましょう
基本的には望遠鏡にどんなCMOSカメラを取り付けても使えないということはありません。しかし月や惑星が見たい方、DSO(銀河、星雲、星団)が見たい方、観望対象によって相応しいカメラはあります。
望遠鏡とCMOSカメラが持つ、それぞれの性能のなかでどのように考えて選べばいいのか大事なところを押さえましょう。
惑星用であれば小さなセンサーサイズで大丈夫。DSO(銀河、星雲、星団)用であれば大きなセンサーサイズが有利です。
望遠鏡は2種類の様式から選ぶ【屈折式か反射式】
代表的な2種類の望遠鏡の光学様式を説明します
屈折望遠鏡
光はレンズで集めます。イラストの左にレンズがあります。観測者は右側の接眼部から覗き込んで観測します。
目標に対して正対して操作できます。ただし天頂付近は接眼部が下になるため姿勢が苦しくなります。天頂ミラーまたは天頂プリズムで角度をまげて対応します。
望遠鏡の代表的なイメージのタイプになります。
反射望遠鏡【ニュートン式】
光を凹面鏡で集めます。イラストの右側に主鏡と呼ばれる反射鏡があり光を集めて前方に送ります。前にある斜鏡が光を折り曲げて接眼部に送っています。観測者は横から覗き込んで観測します。
目標に対して横向きで操作するため慣れが必要です。天頂付近は問題ありません。
望遠鏡の代表的な様式が屈折式と反射式になります。アマチュア向けで市販されている様式で他にカセグレイン式というものがあります。
口径が望遠鏡の光学性能を決める!【大口径が有利】
口径:口径の大きさで望遠鏡の光を集める能力が決まります。屈折式だと対物レンズの大きさ、反射式だと主鏡の大きさを指します。
大きいほうが暗いものが見えます。さらに細かい部分が見えて分解能があがります。ようするに大きいほうが光学性能はあがります。
焦点距離:レンズまたは反射鏡が集めた光が結像するまでの距離です。長くなるほど取り扱いが難しくなります。長いほうが大きく拡大できます。
F値:焦点距離をレンズの口径または反射鏡の口径で割った数字になります。焦点距離500mmで口径が100mmだとF値は5の望遠鏡になります
口径 | レンズまたは主鏡の直径 |
焦点距離 | レンズまたは主鏡が結像する長さ |
F値 | 焦点距離を口径で割った数値 |
基本性能は口径が光学性能の基本になります。口径が大きいほど性能があがります。まず集光力が大きくなり、よりたくさんの光を集められるので暗いものを見ることができます。さらに分解能もあがり、より細かいものが見えることになります。
F値にかんしては同じ口径で焦点距離が短いほど明るいといわれます。F値が小さいほど明るくなるので写真撮影はF値が小さいものが好まれます。高倍率を使うのであれば長い焦点距離が有利です。
しかし、F値が小さくなるほど像のゆがみが出る欠点があります。望遠鏡メーカーはできるだけ短焦点の望遠鏡をめざす傾向があります。ユーザーにしても短くて軽いほうが扱いやすく稼働率もあがるのは確かだと思います。
大口径で短焦点になるほど軽量化ができて使いやすくなります!
使いやすいのは屈折式望遠鏡【圧倒的に使いやすいです】
対物レンズから接眼レンズまで遮蔽物がなく理想的な構造です。反射望遠鏡にくらべて観測対象のコントラストが優れています。惑星などの薄い模様の識別に有利です。
欠点は色収差が存在することです。
光は波長によって屈折率が異なり結像位置がずれます。中心部を離れるにしたがってずれはひどくなり観測していると滲んだように見えてきます。
色収差を改善するために複数の屈折率の違うレンズを組み合わせる方法がとられています。アクロマート式は対物レンズが2枚組になっています。もっとも一般的な方式ですが色収差は若干残ります。市販の安い望遠鏡、双眼鏡ではこの方式です。
アポクロマート式 対物レンズが2枚以上で構成されガラスの材質も違います。ほぼ完ぺきに補正されていますがメーカーによっては補正能力に差が出ているようです。アクロマートにくらべるとかなり高価です。【高級な望遠鏡に採用されています】
アポクロマートにしても完璧に色収差がなくなるわけではありません。
安くて高性能ニュートン式反射望遠鏡
主鏡と斜鏡の2枚の鏡を組み合わせた機構になっています。色収差がありません。屈折式より短焦点に向いています。構造が簡単で製造コストが抑えられます。大口径で安いのが最大のメリットになります。
デメリットとしては鏡は経年で劣化します。10年くらいで再メッキが必要になると思われます。さらに鏡面の洗浄を数年に1回は水洗いですがする必要があります。しないと反射率が悪化します。
最大の難点は光軸調整です。構造的に光軸がずれやすく常にチェックして合わせないと像があまくなります。観測前の必須作業です。
私は30センチドブソニアンも使用しますが観測前には必ず調整しています。10分以内には終わりますが毎回やらないと恒星が点ではなくて ✔ に見えます。
初心者向けの13センチはあまり狂いません。初心者用望遠鏡ということで狂いにくい構造になっています。光軸は狂いにくい構造にしてありますが完璧に合わせ切ることが難しく、見え方を若干犠牲にした構造です。
屈折式望遠鏡 | 対物レンズで集光 | 色収差がある | アクロマート式は色収差が残る | アポクロマート式は高額になる |
ニュートン式 反射望遠鏡 | 反射鏡で集光 | 光軸修正が必要 | 操作事態に慣れが必要 | 大口径でも安い |
ニュートン式反射望遠鏡の横から覗く操作性の問題は自動導入にすれば解決します。むしろ高度の高い天体を観察するときは横から見るほうが負担がかかりません。
どちらも一長一短ありますが当ブログは電子観望で暗くて小さい天体を狙いたいので反射推しです。
F値は重要!【見え方と操作性のトレードオフ】
F値が見え方に大きくかかわってきます。色収差もF値が大きくなれば改善されます。アクロマートでもF15以上あれば色収差はほとんど出ません。アポクロマートと変わらない性能で見えるといわれます。
さらに像のひずみもF値が大きいほど少なくなります。ようするにF値の大きいほうが見え味はよくなるということです。眼視観測には重要な要素です。
昔の屈折望遠鏡はF15が普通にありました。しかし全長が長くなり重量も増して操作性で不利です。口径10センチだと焦点距離が150センチになります。これだけの鏡筒を支える架台は相当頑丈でないと持ちません。
かなりの大きさと重量で持ち運びが大変です。メーカーとしても売りずらかったのでしょう。いまではF15は見かけなくなりました。
眼視観測にこだわる人はいまでも長焦点のアクロマートにこだわってます。
少しでも扱いやすい望遠鏡にしたいメーカーはレンズをアポクロマートにしてF値を小さくしています。とくに天体写真が主流になると、より暗いものを短時間に撮影するためにはF値は小さいほうが有利です。
眼視観測では多少F値が大きくても見え味のいい望遠鏡が好まれます。F値の見え味に関しては屈折式だけの話ではなく反射式にも当てはまります。
反射式は色収差はありませんがF値が小さいと明るくはなりますが見え味は落ちます。周辺のひずみが目立ちます。昔は反射式といえどもF10くらいがたくさんありました。現在はF5が標準ですね。
電子観望でDSO(銀河、星雲、星団)ならF値を小さくしましょう。
こんな感じにまとめます。屈折式も反射式も眼視観測の見え味を求めると長いF値の望遠鏡が相応しくなります。対象天体は月、惑星が中心になります。
このての見え味にこだわった望遠鏡は少なくなりました。まだあることはあります。
天体写真やDSO(銀河、星雲、星団)だと小さいF値が向いてます。とくに天体写真は露出時間が非常に長くなります。
正確に日周運動を追いかける必要があると焦点距離が長いと機械的に追尾が難しくなります。F値が小さいほうが有利です。口径をできるだけ大きくして焦点距離を短くすると必然的にF値が小さいものとなります。
口径とは | レンズ・反射鏡の直径。大きいほうが高性能で集光力と分解能があがる |
焦点距離 | 対物レンズ・反射鏡で集めた光が結像するまでの長さ |
F値 | 焦点距離÷口径 小さいほうが明るく鏡筒も短くなる |
自動導入経緯台の性能では長い焦点距離を正確に追尾するのは厳しくなります。
センサーを見ろ!CMOSカメラ【大きいセンサーは高くなります】
●センサーの感度とセンサーサイズ、そしてピクセルサイズが基本性能になります。
感度は色の波長によって違いますが人間の目が識別できる範囲外も拾ってくれます。
そのため眼視ではまったく見えない形状や色もカメラではっきり捉えることができます。
●センサーの大きさは写る範囲を決定します。大きなセンサーは広い範囲を写すことができます。
天体は見かけの大きさが小さいものから大きいものまで様々です。
満月は大きく輝いていますがアンドロメダ星雲の見かけは満月の5倍くらいあります。周辺部は暗すぎて肉眼では見えてないだけです。
高感度のカメラで長時間露出してみるとでっかいのが写ります。センサーサイズが小さいと大きな天体は画角の中からはみ出します。
●ピクセルサイズは1ピクセルの大きさのことで、大きいほど多くの光を集めることができます。
より暗いものが短時間で写し出せます。小さいピクセルは細かいところを拾ってくれて画質の向上に有利です。
センサーサイズ大きい | 画角が大きい | 大きな範囲を写すことができる | 値段が高い |
センサーサイズ小さい | 画角が小さい | 小さな範囲しか写せない | 値段が安い |
ピクセルサイズ大きい | 感度が高い | 暗いところを写せるが画質は粗い | ? |
ピクセルサイズ小さい | 感度が落ちる | ピクセル密度があがって画質は向上する | ? |
単純な話、大きなセンサーは高額になります。
望遠鏡とCMOSカメラの相性
暗い銀河や星雲は大きいピクセルが有利で明るい月面や惑星は小さいピクセルが有利。
これが基本的な考え方なのですが実際には使用する画像ソフトや観測者の技術にコストが絡んでいろいろなケースが出てきます。
望遠鏡の焦点距離が長いものとか短いものというあいまいな表現をすることがあります。正確性に欠けた感覚的な表現ですがあえて使います。
※仮に長い焦点距離を400ミリ以上、短い焦点距離は400ミリまでとしましょう。そうすると下の考え方がわかりやすくなります。
- 長い焦点距離→見かけの小さい天体向き(惑星、銀河、惑星状星雲、球状星団)
- 短い焦点距離→見かけの大きい天体向き(散光星雲、アンドロメダ銀河、天の川)
こんな感じで捉えてもいいと思います。散光星雲などは見かけの大きさでいうと満月よりも大きいものがたくさんあります。
見かけの大きさとは実際に見えている大きさを言います。満月の大きさはだいたい30分ですアンドロメダ銀河はその5倍もあります。もっとも暗すぎて肉眼では見えません。実際の大きさではないので注意してください。全天は地平線が半分さえぎるので180度です。
自動経緯台では長い焦点距離の望遠鏡は追尾が難しいという問題と天体の導入そのものが困難になります。
大きく長くなると機械精度が求められるからです。コストに響いてきます。短焦点の望遠鏡のほうが正確な追尾ができます。
そうなると観望の対象は画角の大きなものを選んだほうが無難だということになります。
AZgti経緯台のような自動経緯台は性能的に短焦点の望遠鏡と組み合わせた方が扱いやすくなります。【このブログではその反対をやっています】
センサーサイズから考えた得意分野のリスト
望遠鏡とCMOSカメラを組み合わせたときの考え方です。
長焦点 | センサー小 | 狭い画角 | 月、惑星 | 月面ドアップ、惑星、木星縞模様、土星の環 |
長焦点 | センサー大 | 広い画角 | 銀河、星雲、星団 | メシエ天体、NGC天体 |
短焦点 | センサー小 | 広い画角 | 銀河、星雲、星団 | アンドロメダ銀河、オリオン星雲 |
短焦点 | センサー大 | さらに大きい画角 | 散光星雲、銀河群 | アンドロメダ銀河全景、春の銀河団 |
初心者用の電子観望セット
電子観望をはじめるにあたって購入が必要と思われる機材は望遠鏡と架台とCMOSカメラです。
パソコンとスマホはほとんどの方が持っているという前提で販促がされています。
実際に天文機材専門店が電子観望の初心者向けセットとして販売している内容を紹介します。
おすすめセットの解説(シュミットさんオリジナル)
販売サイトをみると初心者におすすめの電子観望セットの組み合わせは短焦点の望遠鏡とCMOSカメラに経緯台になっています。 https://www.syumitto.jp/SHOP/1143083/list.html
- 望遠鏡Askar製 FMA135/FMA180/FMA230のどれか。数字は焦点距離です。口径は左から30ミリ40ミリ50ミリになっています。F値は4.5位です。
- 架台はAzgti自動導入・自動追尾機能付きの経緯台
- CMOSカメラはPlayerOne製ceres-c・センサーサイズ1/3 ピクセルサイズ3.75ミクロン
- 金額は12万円くらいからになってます
この組み合わせは理にかなっていると思います。まず短焦点にして導入の問題と追尾精度の甘さをカバーします。架台は経緯台で扱いやすく価格的にも手が出やすい商品です。
このセットの対象とする天体は見かけの大きなものが向いています。アンドロメダ銀河は全景が入ります。
春の銀河団ははずせないですね、壮大な宇宙を感じる凄いテーマがあります。しかも撮影ポイントは無数にあります。
夏の天の川と散光星雲や球状星団、冬のオリオン星雲と馬頭星雲など群像を収めるのに最適です。
画角がひろい反面、口径も小さいので個々の詳細については苦手になります。全体像を楽しむ組み合わせです。
宇宙に浮かんでいる春の銀河群はテーマとして代表的なものです。いちどは見たいと思うテーマです。
望遠鏡は短焦点アポクロマート
望遠鏡はアポクロマートの短焦点です。口径は30~50ミリと極端な小口径がおすすめになっています。
アポクロマートは色収差対策です。アクロマートでも写りますが明るい星の周りに青い光の滲みが出てくるのが難点でカメラを使った観測には向きません。
短焦点の欠点である像のひずみを抑えるためにフラットナーを内蔵しています。これで周辺まで均一な星像を確保しています。そのため単品の価格は、小さい口径の望遠鏡ですが高いですね。
電子観望専用です。眼視観測には使えません。
架台は経緯台【自動導入自動追尾機能付き】
架台は自動導入と自動追尾機能がついたAzgi経緯台がおすすめになっています。自動導入と自動追尾は電子観望に必須機能でこれがないと観望できません。
サイズも小さく軽量です。三脚を含めて4キロです。いつでもどこでも持ち出して電子観望できます。この取り回しの良さは非常に大事で稼働率のアップに貢献します。
設定も簡単で水平を出すだけなので慣れれば1~2分でしょう。この経緯台は扱いやすく実績のある評判の良いものです。
CMOSカメラは最安値の1/3センサー・ceres-c
PlayerOneのceres-cは現状では最安値といってもいいカメラです。画角は小さいですが感度は悪くありません。撮影、観望のどちらでも納得させてもらえる画質を見せてくれます。
初心者でも扱いやすく購入しやすい価格設定と電子観望が楽しめるセット内容になっています。
観望対象もかなりあります。
しかし望遠鏡は電子観望専用と考えるべきで眼視観測は、ほぼ諦めたほうがいいと思います。
望遠レンズに近い性格の望遠鏡になりますね。
当ブログおすすめセットP130 VIRTUOSO GTiかBKP130 + AZ-Go2とceres-c
当サイトでのおすすめは少し難易度のあがる組み合わせになっています。コストに配慮した内容で大人の初心者を想定して選びました。
私自身がほぼこの仕様で電子観望を楽しんでいます。(使用機種は現在廃盤です)初心者の方は導入に苦労するとは思いますが得られる満足度は高いのであえて提案したいと思います。
望遠鏡+架台のセット仕様
Sky-Watcher P130 VIRTUOSO GTi(ヴィルトオーソ)と BKP130 + AZ-Go2の2機種です。
どちらも口径13センチ焦点距離は65センチです。経緯台はもちろん自動導入、自動追尾機能付きです。
長い焦点距離のほうが大きく拡大して見ることができます。でもあまり大きくなると画角からはみ出して全体像がわからなくなります。
そして長くなると正確に星を追いかけるのが難しくなって高価な望遠鏡でないと正確な追尾ができなくなります。
そのように取り扱いの難しさはありますが基本性能と価格でおすすめします。光学基本性能は口径で決定します。努力では補えません。
暗い銀河や星雲を見るには大きな口径があったほうが有利です
取り扱いについては頑張れば慣れてなんとかなります。成人した方なら何とかなる程度のメンドウさだと思います。
そしてなによりアイピースなどの付属品がついたセットものですから購入したら、すぐに天体観測ができます。
まずは自分の目で月面観測や土星の環を見てください。眼視観測ではじめて天体を見る感動は電子観望で見る観望をはるかに超えてます。そこを経験していただきたいのです。
天体観測が趣味なのに自分で天体を見たことないはダメでしょう。いちどは自分のおめめで天体観測しましょう。
CMOSカメラのおすすめはceres-cかuranusーc
ceres-cは23100円(税込み)と決して安い買い物ではありませんが電子観望用では最安値のほうなのです。センサーサイズは1/3です。
性能についてもDSO(銀河、星雲、星団)、月、惑星とこなせます。はじめてお使いのCMOSカメラとしては充分だと思います。
uranusーcは値段があがります。72600円(税込み)します。センサーサイズが1/1.2です。画角が大きくなる分導入が楽になります。
また昨年発売されただけあってノイズは少なく滑らかで美しい画面です。扱いやすさでは格段にアップします。ご検討ください。
こんな天体がおすすめ!
長い焦点距離と小さいセンサーサイズの組み合わせなので対象を考えると以下になります。
- 月面のクレーター、木星の縞模様、土星の環、火星の模様、金星の満ち欠け
- DSO(銀河、星雲、星団)を個別に見る。大きい対象の詳細を見て楽しむ
当サイトはDSO系ですから月面惑星の説明は勘弁してください。しかし見ること自体は特別変わったことをするわけではありません。
ただしDSOとはゲイン、露出時間がまったく違います。さらにピントもかなりシビアに合わせる必要がります。
月面と惑星にかんしては電子観望で画面で見るよりもアイピース越しに自分の目で見たほうがはっきりと見えます。
私自身は寒いのが嫌なので室内で土星や木星をよく見ていますが、電子観望よりも眼視のほうが詳しく見えると思います。
月や惑星は短露出の1枚のフレームを画面で見ているだけなので画質が粗く眼視に劣ります。
しかし月、惑星は電子観望したデータを画像処理すると恐ろしく詳細な画像を作ることができます。動画したフレームを何百枚以上スタック処理して詳細を浮かび上がらせて画質を整えるのです。
ご紹介したセットでも問題なくやれますから興味が持たれた方はそちらもぜひ研究してください。
DSO(銀河、星雲、星団)の電子観望
経緯台の設定ではできるだけ水平を正確にしてください。ただし基準になる水準器が丸いオモチャみたいなのがついているだけなので限界があります。結局5分もかかりません.
赤道儀と違って経緯台は自動追尾していると時間によって画角回転がおこります。最大でも30分以内にしないと画像が破綻します。露出時間は10秒以内、長い時間はブレがでやすく星が流れたり伸びたりします。
スタック枚数は多いほうが画質が向上しますが画角回転を考えて10分程度に抑えましょう。スタック枚数は100枚あればそれなりに見えます。
(感度)ゲインはそのつど設定します。観望場所、天候など当日の状況でかなり変化します。できるだけ高い感度にしてスタック枚数を増やして画質をあげるのがよいでしょう。
ceres-cのいちばん苦労するのは導入です。導入してからの画質調整はどうにでもなります。販売店でおすすめしないのもそこがあるからでしょう。
導入精度をあげるために設置の水平出しとアライメント星にこだわりましょう。
すこしでも導入の確立をあげるためにはアライメントに目標天体の位置関係を考慮した方法などをとるべきです。
さらにスタックをかける前の画面はかなりノイズで荒れています。その中から天体を探すのがひと苦労ですが経験を重ねていけばノイズだらけの画面のなかで探し出せます。
一朝一夕では難しいと思いますが決して不可能ではありません。根気よく続けて自分のお気に入りの銀河を見つけてください。
65センチの焦点距離は扱いが難しいかもしれませんが、小さな天体を大きく見せてくれます。短焦点では見えない詳細な画像で応えてくれます。
天体は散光星雲でも銀河でも考えられないような複雑な構造をしています。長焦点の特権をフルに使って楽しみましょう。メシエの銀河たちは格好の対象です。
ceres-cも大きめのピクセルサイズのせいか、かなり暗い部分を写してくれます。画面に大きく広がる銀河の渦巻きや星が密集する球状星団のすがたなど書き尽くせません。
経緯台は構造上画角の回転と赤道儀に比較して振動に弱いため、長時間の連続撮影には向いていません。しかし高感度のCMOSカメラは1露出が数秒でもかなり暗い部分をだしてくれます。
電子観望はSharpCap(無料版あります)というソフトをPCにダウンロードして観望します。ソフトのなかにあるライブスタックは画像を重ねて平均化することでノイズを減らし画像をはっきり見せてくれる機能です。
この作業をリアルタイムでやってくれます。ライブスタックを使って重ねていけばノイズが減少して画質が滑らかで見やすいものになっていきます。ライブで少しずつ画面が美しくなっていきます。
アイピースを覗いて眼視するとまではいきませんが画面上で天体のライブ体験ができます。
反射望遠鏡 | 口径 | 焦点距離 | F値 | 架台 | 価格(税込み) |
P130 VIRTUOSO GTi (ヴィルトオーソ) | 13センチ | 65センチ | F5 | 自動導入・自動追尾付き | 55242円 |
BKP130 + AZ-Go2 | 13センチ | 65センチ | F5 | 自動導入・自動追尾付き | 64900円 |
CMOSカメラ | センサー サイズ | ピクセルサイズ | 価格 | ||
ceres-c | 1/3 4.9×3.7 | 3.75ミクロン | 23100円 | ||
uranusーc | 1/1.2 11.2×6.3 | 2.9ミクロン | 72600円 |
感動的に良く見えるおすすめDSO(銀河、星雲、星団)リスト
銀河 | M31、M33、M51、M61、M63、M64、M74、M77,M81、M81、M101、NGC253 |
散光星雲 | M8、M16、M17、M20、M42、 |
惑星状星雲 | M1、M27、M57 |
球状星団 | M2、M3、M10、M12、M13、M22、M30 |
まとめ【改造や特別な望遠鏡は必要ありません】
電子観望はとくに改造しなくても標準仕様でできる観測方法です。アクロマートは色収差がでますが見えないというわけでもありません。
もし今お持ちの望遠鏡がアクロマートであったり長焦点だとしても接眼部が31.7ミリのアメリカンサイズであれば見ることはできます。
自動追尾さえできればできます。いちどお試しください。これまで見えなかったものが見えてきます。月や惑星を室内でゆっくり見ることができたり、体験できなかったことができます。新しい観測方法の電子観望の世界に飛び込んでください。
注意:望遠鏡のバックフォーカスが合わないとCMOSカメラで合焦しないことがあります。そこは確認してください。おすすめしている機種は大丈夫です。